「自由にする」って本当は大変なことなのです。
2013.02.23
この保育園には、子どもたちに分かり易いよう工夫されているところがたくさんあります。 特に、3歳以上のお部屋では、それは「常設された遊びの環境」であったり、「何時まで自由に遊んでいていいのかを示す時計」であったり、「お昼までの時間を今日一日どう過ごそうかの提案をする朝の会」などです。 また、自由時間に好きな場所で好きなだけ好きな道具で、遊んでよい時間がたっぷりとれることもこの園の特徴と言ってよいでしょう。
園児たちはその中でおしゃべりに夢中になってお話が上手になっていったり、表現が上手になっていったり、協調性が養われたりしています。 勿論、いろんなことがまだ未熟な年齢ですので、言葉が足りなかったり、相手の意図が理解できなかったりという場面も生じ、喧嘩も多々あります。 しかし、怪我の心配がなければ、喧嘩などは十分にさせた方が良いと思っています。 それは、喧嘩のような気持ちのぶつかり合いは、先程も出たように未熟さからくる勘違いの事が多々あるからです。 そういった場合。きちんと当人同士が話し合えば必ずその点に気づく事が出来て、より相手と自分を知るきっかけになるからです。 お友達がこうして増えていきますね。
「毎日自由な事ばかりしていて大丈夫ですか?小学校に行ったら我慢しなければならないこともたくさんあるのに。」と、この保育の本当の凄さをまだ知らない方はそう思われるかもしれません。
しかし、 自由時間が多い園生活では、まず自分で考えることが基本ということが定着していきます。そして朝の会なども、お話を聞いていないと自分に必要な情報が取り入れられませんし、自分の事は自分で決め、行動し、片付けもする。 多少の失敗も経験もしますが自分を知り、他人を知り、コミュニケーションのノウハウの入り口をしっかり作り、いろんなトラブルの対処の仕方を学んでいます・・。
わからなかったら自分から進んで聞きに行く(先生でもお友達でも・・・自分で聞く相手を考えて選択するでしょう)、或いはボード(掲示板のようなもの)へ情報を確認しに行く。 自分で遊び道具を揃える。 一緒に遊ぶお友達を決める。 これは、小学校の1時間目国語、2時間目算数、・・・。と決められた席について待っていれば教えてもらえる学校生活、と同等、或いはそれよりも、しんどい事かもしれません。 でも、園児たちは毎日楽しそうにその課題を乗り越えています。 本当に子ども達の力は凄いです!
蛇足かもしれませんが、先程、出てきた小学校に行ったら我慢しなければならない事を少し検証してみましょう・・・例えば①席について先生の話を話の途中でしゃべり出さずに最後まで聞くこと。 ②みんなと同じことをすること。 ③給食を時間内に食べること。 などでしょうか。
①は、子ども達に「聞いていないと後で自分が困ったことになってしまう」という経験をしてもらっているので、自ら、聞かなきゃ!という気持ちや態度が身に付いてきているようです。「しー!静かにして!」と声を掛け合う子どもたちの姿の中に答えがありますね。
②は、協調性が育たないのでは?身勝手にならないのかしら?という点ですが、 唯、年齢が大きくなる事によって、何故、我慢しなければならないのかということが理解できるようになっていきます。 小学校に入学する年齢になるまでに運動会やお遊戯会などいろいろな行事を通し、正しく向き合えるよう指導していても、子ども達は楽しそうに乗り越えていますね。
③給食を時間内に食べ終えることは、あごの発達や味覚の幅のひろがり、胃袋の大きさなど個人差もありますね。 でも、毎日の給食の時間にお代わりする子ども達の様子を保育参加で是非見に来てください。 きっと、問題ないと思っていただけると思います。 そして、年長さんは1月に入ると別室で担任が丁寧に最後の仕上げをしています。
子どもたちの持てる力を信じて教えながらその力を引き出す保育・・・。 子ども達の秘めたる力は大人の想像以上です。
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